英語が通じる国・通じない国 一覧|ランキングでは分からない旅の実際

「英語が通じる国ランキング」で旅先を決めると外します。順位が測るのはその国で英語を学んでいる人の平均であって、空港やホテルで実際に相対する人ではないから。当サイトが歩いた18の国・地域について、EF EPI 2025 の数字と「旅の動線での実際」を並べました。

結論から言うと、「英語が通じる国ランキング」で旅先を決めると外します。順位が測っているのはその国で英語を勉強している人の平均であって、空港カウンターやホテルのフロントで実際に相対する人ではないからです。総合順位が123の国・地域中116位のタイでも、観光の動線ではふつうに英語で用が足ります。このページは、当サイトが実際に歩いた18の国・地域について、公表指標と「旅の動線での実際」を並べて置いたものです(2026年8月時点)。

18の国・地域の一覧 — 指標と、当サイトのガイド

数字は EF EPI(EF英語能力指数)2025年版です。2024年に無料オンラインテストを受けた世界220万人の結果をもとに、123の国・地域を並べたもので、2025年11月に公表されました。区分は600以上=非常に高い / 550〜599=高い / 500〜549=標準 / 450〜499=低い / 450未満=非常に低い、世界平均は488です。

国・地域エリアEF EPI 2025当サイトのガイド
🇳🇱 オランダヨーロッパ624 / 世界1位(非常に高い)オランダ旅行ガイド
🇩🇪 ドイツヨーロッパ615 / 世界4位(非常に高い)ドイツ旅行ガイド
🇵🇹 ポルトガルヨーロッパ612 / 世界6位(非常に高い)ポルトガル旅行ガイド
🇩🇰 デンマークヨーロッパ611 / 世界7位(非常に高い)デンマーク旅行ガイド
🇧🇪 ベルギーヨーロッパ608 / 世界9位(非常に高い)ベルギー旅行ガイド
🇬🇷 ギリシャヨーロッパ592 / 世界20位(高い)ギリシャ旅行ガイド
🇵🇭 フィリピンアジア569(高い)フィリピン旅行ガイド
🇪🇸 スペインヨーロッパ540(標準)スペイン旅行ガイド
🇭🇰 香港・マカオアジア538(標準)香港・マカオ旅行ガイド
🇮🇹 イタリアヨーロッパ513(標準)イタリア旅行ガイド
🇻🇳 ベトナムアジア500(標準)ベトナム旅行ガイド
🇲🇦 モロッコアフリカ492(低い)モロッコ旅行ガイド
🇹🇿 タンザニアアフリカ479(低い)タンザニア旅行ガイド
🇨🇳 中国アジア464(低い)中国旅行ガイド
🇹🇭 タイアジア402 / 世界116位(非常に低い)タイ旅行ガイド
🇮🇸 アイスランドヨーロッパ掲載なし(後述)アイスランド旅行ガイド
🇬🇧 イギリスヨーロッパ対象外(英語が母語)イギリス旅行ガイド
🇺🇸 アメリカ北米対象外(英語が母語)アメリカ旅行ガイド

この表を眺めて最初に気づいてほしいのは、順位の並びが「旅のしやすさ」の並びになっていないことです。次の節で理由を3つに分けます。

ランキングを旅の判断に使うと外す、3つの理由

① 測っているのは「受けた人」で、道で会う人ではない

EF EPI は無料のオンラインテストを自分の意思で受けた人の結果です。受けるには英語を学ぶ動機とネット環境が要るので、サンプルはもともと「英語に関心がある層」に寄っています。EF 自身も、結果はその国のすべての人の英語力を表すものではないと注記しています。

掲載にはその国で400人以上の受験者が必要で、届かない国は載りません。アイスランドが表にないのはこの基準のためで、英語力が低いからではありません(アイスランドでは英語が義務教育の必修科目です)。人口約38万人の国は、そもそも400人を集めるハードルが違います。

② 旅で要るのは読み書きではない

この指標が測るのは主に読解と聞き取りです。一方、旅で詰まるのは「言う」と「聞き取る」で、しかも必要な語彙は数十語しかありません。チェックイン・注文・道を聞く・トラブルを伝える——用が足りるかどうかと、テストの点数は別の能力です。

だから総合116位のタイでも、観光の動線では英語で仕事をしている人に当たります。逆に総合の高い国でも、観光客がまず行かない住宅街の店では通じないことがあります。

③ 同じ国でも、都市と地方で別世界

当サイトのスペインガイドは、言語の欄にこう書いています——「観光地は英語通用、地方都市はスペイン語のみ」。ベルギーのブルージュも「フラマン語圏だが観光域は英語で完結」。国に1つの数字を割り当てた時点で、この差は消えます。

旅の準備で本当に知りたいのは「その国の平均点」ではなく、自分が通る動線で通じるかです。だから当サイトは、順位ではなく国ごとのガイドのほうを読んでほしいと考えています。

エリア別 — 実際のところ

ヨーロッパ — 北ほど通じ、南ほど現地語の一言が効く

オランダ(624・世界1位)、ドイツ(615)、ポルトガル(612)、デンマーク(611)、ベルギー(608)は「非常に高い」に固まります。この5か国は、観光の動線どころかふつうの店でも英語が通る前提で旅程を組んで構いません。ポルトガルが上位にいるのは意外に思われますが、当サイトの記事でも、リスボン空港の通信カウンターや緊急番号112が英語対応であることに触れています。

分かれ目はスペイン(540)とイタリア(513)の「標準」帯です。マドリードやバルセロナ、ローマやフィレンツェの観光動線は英語で回りますが、バルの注文・市場・地方都市に入ると現地語の比重が一気に上がります。ここは「通じない」ではなく「一言あると体験の質が変わる」領域です。

イギリスは母語なので指標の対象外ですが、日本人にとっては別の壁があります。当サイトのイギリスガイドが書いているとおり、bill(会計)や queue(列)のようにアメリカ英語と語彙が違う場面が意外とある。通じるかどうかではなく、聞き取れるかどうかの問題に変わるのがこの国です。

アジア — 指標と旅の実感がいちばんズレる

フィリピン(569・高い)は英語が公用語のひとつで、アジアでは例外的な位置にいます。当サイトのフィリピンガイドは「ホテルから市場までほぼ英語で通ります」と書いていて、初めて「英語で旅する」練習先としても挙げています。香港(538)も英語が公用語で、標識・交通・レストランの表示は英語が並記されます。

一方、タイは402で世界116位、前年から13点下げて「非常に低い」区分です。ただしこの数字を見て旅を諦める必要はまったくありません。バンコクやプーケットの観光動線には英語で仕事をしている人が揃っていて、ホテル・空港・主要な店では用が足ります。数字が示しているのは「国全体の平均」であって、あなたが通る道ではない——タイはこのズレがいちばん大きく出る国です。

ベトナム(500)と中国(464)は、観光動線を一歩外れると翻訳アプリが前提になります。ベトナムでは現地ツアーが「英語混載」と「日本語ガイド付き」で明確に値段が分かれていて、言語が商品の仕様として値段に乗っているのが分かりやすい例です。

アフリカ — 英語が通るのは「ツーリズムの中」

モロッコ(492)とタンザニア(479)はどちらも「低い」区分ですが、事情が違います。モロッコはフランス語の存在感が大きく、英語よりフランス語のほうが通じる場面があります。タンザニアはスワヒリ語が国語で、英語は行政・高等教育で使われる言語——サファリのガイドやロッジのスタッフは英語で仕事をしているので、ツーリズムの枠の中にいる限り英語で完結します。枠の外に出ると急に変わる、という構造です。

北米 — 通じるが、聞き取れない

アメリカは当然すべて英語ですが、日本人が苦労するのは話す側ではなく聞く側です。速度と音の脱落(Whaddaya want? / Lemme see)に慣れていないと、単語は知っているのに聞き取れません。ここは発音ガイドの「リズムとつながり」の節が直接効く場面です。

英語が話せなくても、海外旅行はできるのか

できます。ただし「できる」の中身は行き先で変わるので、3段階に分けて考えると準備しやすくなります。

  • 英語だけで最初から最後まで完結する … イギリス・アメリカ・フィリピン・香港、そしてオランダ・ドイツ・ポルトガル・デンマーク・ベルギー。定型フレーズが口から出れば、入国から帰国まで英語で乗り切れます
  • 観光動線は英語、外れると現地語 … スペイン・イタリア・ギリシャ・タイ・ベトナム・モロッコ・タンザニア。宿と移動を先に押さえておけば、英語が通じない場面は「食事と買い物」に絞られます
  • 翻訳アプリを前提に組む … 中国、および上記の国の地方部。会話より「書いて見せる」ほうが早い場面が増えます

検索では「英語が話せない海外旅行は危険か」という不安もよく見かけます。率直に言うと、旅の安全を左右するのは語学力より事前の情報です。盗難の手口・警察の届け出先・緊急番号を知っているかどうかのほうが、英語が流暢かどうかより効きます。各国のガイドにある治安の節と、海外旅行保険の記事を先に読んでおくほうが、フレーズを100個覚えるより実利があります。

通じない場所で効く、3つの手

1. 現地語のあいさつを1つだけ持っていく

オラ(スペイン語)、コップンカー(タイ語)——用件は英語で通りますが、最初の一言が現地語だと歓迎度が変わるというのが、当サイトが実際に歩いてきた実感です。覚えるのは1つで十分で、発音も雑で構いません。「この人はうちの国に興味がある」という信号として働きます。

2. 数字は必ず書く

金額・時刻・人数・部屋番号は、聞き間違いが最も起きて、最も痛いところです。thirteen(13)と thirty(30)のように、強く読む位置が違うだけで別の数になる組み合わせがあり、母語話者どうしでも聞き返します。紙かスマホの画面に書いて相手に見せる——これだけでトラブルの大半は消えます。なぜ強弱で意味が変わるのかは、発音ガイドの「強弱のリズム」の節が扱っています。

3. 翻訳アプリは「オフラインで動く状態」にしてから出る

翻訳アプリが要る場面ほど、電波が悪い場所だったりします。出発前に対象言語のオフラインデータを落としておくのと、現地に着いてから落とそうとするのとでは、まったく別の体験になります。通信の確保そのものについては現地SIM・Wi-Fiの記事にまとめています。

現地語のひとこと — 16の国・地域

用件は英語で通ります。それでも最初の一言が現地語だと、返ってくるものが変わる——これは実際に歩いてきた実感です。ここに載せたのは社交の言葉だけ(あいさつ・お礼・お詫び・「おいしい」)。「お願いします」「いくらですか」を現地語で覚える必要はありません。それはまさに英語で足りる領域で、覚えても体験は変わらないからです。歓迎度を変えるのは社交の側だけです。

英語が母語のイギリスアメリカは載せていません。各国のガイドページにも、その国のぶんだけ同じ表を置いてあります。

🇵🇹 ポルトガル

  • こんにちはOlá
  • ありがとうObrigado / Obrigada★言う人の性で変わる。男性は obrigado、女性は obrigada。相手の性ではなく自分の性。
  • すみませんCom licença人の前を通るとき・話しかけるときの「失礼します」。
  • おいしいDelicioso

🇪🇸 スペイン

観光地は英語で回るが、バルの注文や地方都市では一言あると空気が変わる。

  • こんにちはHola
  • ありがとうGracias
  • すみませんPerdón
  • おいしい¡Qué rico!「うまい!」に近い砕けた言い方。バルで言うと喜ばれる。

🇮🇹 イタリア

  • こんにちはCiao / BuongiornoCiao は親しい相手向け。店や初対面では Buongiorno(午後は Buonasera)が無難。
  • ありがとうGrazie
  • すみませんScusi
  • おいしいBuonissimo

🇬🇷 ギリシャ

  • こんにちはΓεια σας砕けた形は Γεια σου(ヤ ス)。
  • ありがとうΕυχαριστώ
  • すみませんΣυγγνώμη
  • おいしいΠολύ νόστιμο

🇳🇱 オランダ

★英語の通用度が世界一(EF EPI 2025)。無理にオランダ語を使う必要はなく、あいさつだけで十分。

  • こんにちはHallo
  • ありがとうDank je / Dank u welDank u wel のほうが丁寧。
  • すみませんSorry英語のまま通じる。
  • おいしいLekker

🇩🇪 ドイツ

  • こんにちはHallo / Guten Tag店に入るときは無言より必ず一言。ドイツでは作法として効く。
  • ありがとうDanke
  • すみませんEntschuldigung長いので Entschuldigung の代わりに Sorry でも通じる。
  • おいしいLecker

🇧🇪 ベルギー

★1つの国で言語が分かれる。ブリュッセルと南部(ワロン)はフランス語、北部(フランデレン=ブルージュ・ヘント・アントワープ)はオランダ語。下はフランス語で、北部ではオランダの欄を使う。

  • こんにちはBonjour
  • ありがとうMerci
  • すみませんPardon
  • おいしいDélicieux

🇩🇰 デンマーク

★デンマーク語には英語の please にあたる決まった一語が無い。頼みごとは英語で構わない。

  • こんにちはHej英語の Hi と同じ音。店でも普通に使える。
  • ありがとうTak
  • すみませんUndskyld
  • おいしいLækkert

🇮🇸 アイスランド

英語は義務教育の必修で、観光の場面では英語で完結する。あいさつだけ持っていけば十分。

  • こんにちはHalló
  • ありがとうTakkありがとうを強めるなら Takk fyrir(タック フィリル)。
  • すみませんAfsakið
  • おいしいGott

🇲🇦 モロッコ

★アラビア語(モロッコ方言=ダリジャ)だが、フランス語も広く通じる。英語より仏語のほうが通じる場面がある。

  • こんにちはالسلام عليكم返しは ワアライクム サラーム。宗教的な挨拶だが日常の第一声として広く使う。
  • ありがとうشكرا
  • すみませんسمح ليا
  • おいしいلذيذ

🇹🇿 タンザニア

スワヒリ語が国語。英語は行政・高等教育で使われ、サファリのガイドやロッジは英語で完結する。

  • こんにちはHabari / Jambo★Jambo は観光客向けの言い方。地元どうしは Habari を使う。Habari で返すと反応が変わる。
  • ありがとうAsante強めるなら Asante sana(アサンテ サーナ)。
  • すみませんSamahani
  • おいしいTamu

🇹🇭 タイ

★タイ語で最も効くのは語尾。男性は ครับ(クラップ)、女性は ค่ะ(カ)を文末に付けるだけで丁寧になる。単語より語尾。

  • こんにちはสวัสดีครับ / ค่ะ朝昼晩いつでも使える。合掌(ワイ)を添えるとなお良い。
  • ありがとうขอบคุณครับ / ค่ะ
  • すみませんขอโทษ
  • おいしいอร่อย屋台で言うと確実に喜ばれる一語。

🇻🇳 ベトナム

  • こんにちはXin chào
  • ありがとうCảm ơn
  • すみませんXin lỗi
  • おいしいNgon短いが強い賛辞。麺の店で使いどころが多い。

🇭🇰 香港・マカオ

広東語。標識・交通は英語が並記され、観光の動線は英語で回る。

  • こんにちは你好
  • ありがとう唔該 / 多謝★使い分けがある。サービスに対しては 唔該(ンゴイ)、贈り物やご馳走に対しては 多謝(ドージェ)。店では 唔該 のほうが出番が多い。
  • すみません對唔住
  • おいしい好食

🇵🇭 フィリピン

★英語が公用語のひとつで、ホテルから市場までほぼ英語で通る。フィリピノ語は「使えたら喜ばれる」位置づけ。

  • こんにちはKumustaKumusta ka?(お元気ですか)の短縮。英語の How are you? と同じ感覚。
  • ありがとうSalamat丁寧にするなら Salamat po(サラマット ポ)。po は敬意を表す語。
  • すみませんPasensya na
  • おいしいMasarap

🇨🇳 中国

  • こんにちは你好
  • ありがとう谢谢
  • すみません对不起
  • おいしい好吃料理に対して。飲み物なら 好喝(ハオホー)。

出発前にやること

行き先が決まっているなら、順番はこうです。早見表を1枚印刷する(電波もバッテリーも要らない保険)。場面別フレーズ集で、自分が通る場面だけを予習する(全部やろうとしない)。発音ガイドで、通じにくい音とリズムだけ直す。この3つで、上の表の「観光動線は英語」の国までは十分に届きます。

行き先がまだ決まっていないなら、国・地域の一覧から選んでください。「英語が通じるか」を軸に選ぶなら、上の表の上半分——オランダ・ドイツ・ポルトガル・デンマーク・ベルギー、そしてアジアならフィリピンが、最初の海外としてハードルが低い並びです。

出典: EF English Proficiency Index 2025(2025年11月公表・123の国と地域・2024年の受験者220万人)。各国のガイドの記述は当サイトの取材・実走に基づきます。本ページの調査時点は2026年8月です。