入国審査で聞かれるのは、目的・滞在日数・滞在先の3つでほぼ全部です。しかも文章で答える必要はありません——Sightseeing.(観光です)、Five days.(5日です)と単語で言い切るほうが、審査官にとってはむしろ自然で速い。そしてもうひとつ、多くの人が知らない事実があります。2026年8月現在、審査官と会話をせずに通る国のほうが増えています。イギリスは自動化ゲート、シェンゲン圏は顔と指紋の自動登録に切り替わりました。このページは、いま実際に何が起きるのかと、話す必要がある場面だけの答え方をまとめたものです。
いま入国審査で何が起きているか(2026年8月時点)
まず全体像です。「英語で答える」場面がどこに残っているかは、行き先で大きく違います。ここを知らずに全場面ぶんのフレーズを覚えようとすると、要らない準備で時間を使います。
| 行き先 | 入国時の仕組み | 審査官との会話 |
|---|---|---|
| 🇬🇧 イギリス | 2026年2月25日からETA(電子渡航認証)が完全義務化。£20・2年有効。日本のパスポートは自動化ゲート(eGate)が使える | ほぼ無い(ゲートに旅券を置いてカメラを見るだけ) |
| 🇪🇺 シェンゲン圏 (ポルトガル・スペイン・イタリア・ギリシャ・オランダ・ドイツ・ベルギー・デンマーク・アイスランド) | EES(出入国記録システム)が2026年4月10日に全面稼働。パスポートのスタンプは廃止され、顔写真と指紋4本を登録する | 最小限(初回は登録に時間がかかる) |
| 🇺🇸 アメリカ | ESTA($40.27・2年有効)。自動化キオスクを使っても最後に審査官と対面する | ★残っている。質問される前提で行く |
| 🇹🇭 タイ | TDAC(電子入国カード)が全外国人に必須。無料・到着72時間前から登録しQRを提示 | 少ない(書類確認が中心) |
| 🇵🇭 フィリピン | eTravel に到着72時間前以内に無料登録し、QRを提示 | 少ない |
つまり、英語で受け答えする覚悟が本当に要るのはアメリカです。ヨーロッパは手続きが機械に移り、アジアは事前登録と書類提示が中心になりました。ETA・ESTA・TDAC・eTravel はいずれも公式サイト以外の高額な代行サイトが存在するので、申請は必ず政府の公式ページから行ってください。
聞かれるのは3つだけ — 単語で答える
会話が残っている場面でも、質問は次の3つに集約されます。目的(Why)・期間(How long)・滞在先(Where)。答えは単語で構いません。むしろ流暢に文章で答えようとして詰まるほうが、印象としても時間としても不利です。
- Purpose of your visit?(目的は?)→ Sightseeing.(観光です)/ Business.(仕事です)
- How long are you staying?(滞在は?)→ Five days.(5日間です)/ Two weeks.(2週間です)
- Where are you staying?(どこに泊まる?)→ I’m staying at the Grand Hotel. / ホテル名だけでも通ります
下は空港・機内の場面のフレーズ集です。🔊で発音を確かめられます。この場面だけは、黙読ではなく口に出して3回言っておく——本番で出るかどうかは、それだけで変わります。
間違えた札を先に、足りないぶんは未習得から。同じ日は何度押しても同じ10枚です。
🎉 今日のぶんは全部「覚えた」になりました。
カードを押すと訳と発音が表示されます。もう一度押すと戻ります。
0 / 0 問正解
4択にするには4つ以上必要です。絞り込みを緩めてください。
◯ 正解× 正解は
27 件
I'd like to check in, please.
チェックインをお願いします。
例May I see your passport?パスポートを拝見します — 続けて言われる定番
I'd like to 〜 は「〜したいのですが」の万能形。空港でもホテルでも同じ。
Sightseeing.
観光です。
例What's the purpose of your visit?渡航目的は? — この質問への答えが Sightseeing.
入国審査の "What's the purpose of your visit?"(渡航目的は?)への答え。一語で十分、文にしなくてよい。
Five days.
5日間です。
例How long are you staying?滞在は何日ですか — この質問への答え方
"How long are you staying?"(滞在は何日?)には数字+days で答える。宿泊数なら nights。
I'm staying at the Grand Hotel.
グランドホテルに泊まります。
例Where are you staying?どこに泊まりますか — この質問への答え方
"Where are you staying?" への答え。予約確認書の画面を見せながらで構わない。
I work for a company.
会社員です。
例What do you do?お仕事は何ですか — 入国審査で3つの定番質問の次に来やすい
★「会社員」を office worker / salaryman と訳すと不自然。work for a company が自然で、業種を足すなら I work for a trading company. 審査官が知りたいのは職種の細部でなく生活基盤の有無なので、大づかみで足りる。
I'm self-employed.
自営業です。
例And what do you do for a living?ご職業は — for a living が付く形もよく使われる
自営業・フリーランス・個人事業主をこの一語でまとめられる。職種の説明は求められていない。無職・求職中なら I'm between jobs.(次を探している最中)が unemployed より角が立たない。
Yes, I have a return ticket.
はい、帰りの航空券があります。
例Do you have a return ticket?帰りの航空券はお持ちですか
滞在期間の裏取りとして聞かれる。予約確認書を見せれば言葉は要らない。片道で入国する予定なら、その先の出国計画を説明できるようにしておく。
Where is Gate 12?
12番ゲートはどこですか。
例Go straight and turn left at security.まっすぐ進んで保安検査場で左です
Could I have some water, please?
(機内で)お水をいただけますか。
例Still or sparkling?炭酸なし?あり? — よく聞き返される
Could I have 〜? は機内・カフェ・レストラン共通の「〜をください」の型。
My baggage hasn't come out.
荷物が出てきません。
例Can I see your baggage claim tag?荷物タグの半券を見せていただけますか
Baggage Claim(手荷物受取所)のカウンターへ。搭乗券に貼られた荷物タグの半券を見せる。
boarding pass
搭乗券。
例Please have your boarding pass ready.搭乗券をご用意ください — 搭乗口のアナウンス
aisle seat
通路側の席。
例Window or aisle?窓側と通路側どちらにしますか — チェックインで聞かれる
窓側は window seat。aisle の s は発音しない(「アイル」)。
Business or pleasure?
相手が言う
仕事ですか、観光ですか?
★初見でまず分からない決まり文句。Pleasure. の一言で足りる。
What brings you here?
相手が言う
何をしに来ましたか?
Purpose of your visit? の言い換え。Sightseeing. と単語で返す。
How long will you be here?
相手が言う
どのくらい滞在しますか?
How long are you staying? と同じ。実際は「ハウロンガユビヒア」に聞こえる。
When are you leaving?
相手が言う
いつ発ちますか?
滞在期間の裏取り。帰国日を言うか、予約確認書を見せる。
Where will you be staying?
相手が言う
どこに泊まりますか?
ホテル名だけで通る。住所を求められたら予約確認書を見せる。
Do you have a return ticket?
相手が言う
帰りの航空券はありますか?
Yes, I do. か予約確認書。片道で入るなら先の予定を説明できるように。
Are you traveling alone?
相手が言う
おひとりですか?
Yes. / No, with my family. で足りる。
What do you do for a living?
相手が言う
お仕事は何をされていますか?
短く What do you do? とも言われる。★職種の細部は求められていない。I work for a company. のように大づかみで。
May I see your passport?
相手が言う
パスポートを見せてください
Passport, please. とも言われる。求められる前に出しておくと速い。
Do you have anything to declare?
相手が言う
申告するものはありますか?
税関で。No. で通ることがほとんど。
Is the flight on time?
飛行機は定刻ですか。
例It's delayed by thirty minutes.30分遅れています
遅延=delayed、欠航=cancelled。掲示板の表示とセットで覚える。
Any chance I could switch seats?
Would it be possible to change my seat?
席を替えてもらえたりしますか。
例Let me check… yes, we have an aisle seat.確認します…通路側が空いていますよ
Any chance 〜? は「ダメ元でお願い」のネイティブ定番。より丁寧に言うなら Would it be possible to 〜?。
I have a connecting flight to Lisbon.
リスボン行きの乗り継ぎ便があります。
例Your gate is B12, boarding at two.ゲートはB12、搭乗は2時です
乗り継ぎが不安なときは Will I make my connection?(間に合いますか)と続ける。
delayed
遅延した。
例The flight is delayed due to weather.天候のため遅延しています
電光掲示板の頻出語。on time(定刻)/ cancelled(欠航)とセットで。
Will there be any compensation for the delay?
遅延の補償はありますか。
例You're entitled to a meal voucher.お食事券をお受け取りいただけます
EU発着便の大幅遅延・欠航は EU261 規則で補償が定められている。権利は聞かないと出てこない。
この条件のフレーズはありません。レベルか場面を変えてみてください。
「職業は?」でだけ詰まる — 会社員・主婦・学生・自営業
3つの定番質問は準備できていても、What do you do?(お仕事は?)で固まる人がとても多い。日本語の職業名をそのまま英訳しようとするからです。審査官が知りたいのは職種の細部ではなく「まっとうな生活基盤があるか」なので、大づかみで構いません。
- 会社員 → I work for a company.(「会社に勤めています」。office worker より自然です)/ 業種を足すなら I work for a trading company.
- 公務員 → I work for the government.
- 自営業・フリーランス → I’m self-employed.(万能。職種の説明は要りません)
- 学生 → I’m a student./大学生なら I’m a university student.
- 主婦・主夫 → I’m a homemaker.(housewife より現在は一般的)/ I take care of my family. でも通じます
- 退職後 → I’m retired.
- 無職・求職中 → I’m between jobs.(「次の仕事を探している最中」。unemployed より角が立ちません)
ポイントは短く言い切って、そこで止めることです。聞かれてもいない事情を説明し始めると、かえって話が長くなります。
審査官はこう言ってくる — 聞き取りの型
準備していたのに聞き取れない、という失敗のほとんどは「同じことを違う言い方で聞かれる」のが原因です。同じ質問の言い換えを知っておくだけで、体感の難易度が変わります。
| 聞かれていること | 実際に飛んでくる言い方 |
|---|---|
| 目的 | Purpose of your visit? / What brings you here? / Business or pleasure? |
| 期間 | How long are you staying? / How long will you be here? / When are you leaving? |
| 滞在先 | Where are you staying? / Do you have an address? / Where will you be staying? |
| 帰りの便 | Do you have a return ticket? / When do you fly back? |
| 同行者 | Are you traveling alone? / Who are you with? |
とくに Business or pleasure? は、初見だとまず分かりません。「仕事ですか、それとも遊びですか」という決まり文句で、答えは Pleasure. の一言で足ります。
もうひとつ、日本人がつまずくのは音のつながりです。How long are you staying? は実際には「ハウロンガユステイイン」のように聞こえます。単語を1つずつ探そうとすると間に合いません——この感覚は発音ガイドの「つながる音」の節で、聴き比べながら掴めます。
うまくいかないとき — 黙るのが一番まずい
聞き取れなかったときに黙ってしまうのが、実は最も避けたい対応です。審査官からは「答えたくない」のか「分からない」のか区別がつかず、質問が増える方向に進みます。使う言葉は1つで足ります。
- Sorry, could you say that again?(もう一度お願いします)— 何度使っても失礼ではありません
- Sorry, I don’t speak English well.(英語があまり話せません)— これを先に言うと、相手はゆっくり短く言い直してくれます
- それでも詰まったら予約確認書を見せる。滞在先の住所も日数も、その紙の上に全部書いてあります
スマホの画面より印刷した紙のほうが速い場面があります。電波が無い、バッテリーが切れた、ロック解除に手間取る——入国審査の列は、そのどれもが起こりうる場所です。
英語が話せなくても通れるのか
通れます。入国審査は語学試験ではなく、入国の要件を満たしているかの確認です。要件は有効な旅券・必要な事前認証・帰りの便・滞在先であって、英語力ではありません。上の表のとおり、いま多くの国で会話そのものが手続きから外れつつあります。
それでも不安なら、準備の優先順位はこうです。①事前認証(ETA・ESTA・TDAC・eTravel)を確実に取る ②予約確認書と帰りの便を印刷して手荷物に入れる ③上の3つの答えを口に出して練習する。この順番で、①と②のほうが③よりはるかに重要です。手続きの不備は入国できない理由になりますが、英語の下手さは理由になりません。
行き先ごとに英語がどれくらい通じるかは英語が通じる国・通じない国の一覧に、入国後の場面のフレーズは場面別フレーズ集にまとめています。出発直前なら早見表を1枚印刷して荷物に入れておくのが確実です。
入国制度の数値は当サイトの事実台帳に基づきます(英国ETA: £20・2026年2月25日から義務化/EES: 2026年4月10日全面稼働/ESTA: $40.27・2年/タイTDAC・フィリピンeTravel: 無料・到着72時間前から)。制度は変わります——渡航前に必ず各国の公式ページで最新を確認してください。本ページの調査時点は2026年8月です。