取材2024年4〜5月に実際にモロッコ→リスボン→マドリード→バルセロナと繋いだ旅の記録
料金・制度の最終確認2026年7月
「ヨーロッパ旅行」と「アフリカの旅」は、実は1枚の航空券の中に同居させられます。モロッコとイベリア半島(スペイン・ポルトガル)は空路でわずか1〜2時間強、LCC なら片道数千円の距離。つまり日本→欧州の往復航空券に、モロッコを「途中の1章」として挟めるのです。2大陸周遊の組み立て方を解説します。
なぜこの組み合わせなのか — 距離・歴史・航空券の三拍子
第一に距離。ジブラルタル海峡を挟んでスペインとモロッコは目と鼻の先で、飛行機ならマラケシュ⇔マドリードが約2時間。東京⇔福岡の感覚で大陸を跨げます。第二に歴史。イベリア半島は8世紀にわたりイスラム王朝の地であり、アルハンブラ宮殿の装飾、ポルトガルのアズレージョ(装飾タイル)の源流は、海峡の南側と地続きです。歴史で選ぶ旅の文脈では、モロッコ→イベリアの順に回ると「文明の連続性」が一本の線になります。第三に航空券。日本からモロッコへの直行便はなく、どのみち欧州か中東での乗り継ぎが必要——それならイベリア滞在とセットにした方が、移動効率も総費用も良くなるのです。
空路の実際 — 主要ルートと所要時間

| 路線 | 所要時間の目安 | 主な運航会社(2026年7月時点) |
|---|---|---|
| カサブランカ ⇔ リスボン | 約1時間20分〜2時間 | TAPポルトガル航空、ロイヤル・エア・モロッコ |
| マラケシュ ⇔ マドリード | 約2時間(1日4便前後) | イベリア航空系、エア・ヨーロッパ、Ryanair 等 |
| マラケシュ ⇔ バルセロナ | 約2時間半(1日3便前後) | Ryanair、Vueling 等 |
LCC はセール時に片道5,000円を切ることもあります。私たちは地方都市エルラシディアから国内線でカサブランカに出て、カサブランカ→リスボン便(約1.5時間)で大陸を渡りました。モロッコ側の国内線・国際線のハブはカサブランカで、マラケシュからは鉄道(ONCF)や国内線で接続できます。

モデルルート3型 — どちらを先にするか
① 先モロッコ型(実体験ルート)— 濃い体験から始めて欧州で整える
日本→(乗継)→モロッコでマラケシュ・サハラ砂漠・エッサウィラを1週間前後 →空路でリスボンへ渡り、ポルトガル→マドリード→バルセロナと東進して帰国。私たちはこの型でした。旅の序盤に体力を使う砂漠を置き、後半は都市観光でペースを落とせるのが利点。イベリア側の組み立てはスペイン・ポルトガル周遊10日間がそのまま使えます。
② 後モロッコ型 — 欧州の延長に「異世界」を足す
イベリアを回ってからマドリードやバルセロナ発の便でマラケシュへ。欧州の街歩きに慣れた目でメディナに入ると、文化の落差が最大化されます。帰国便をカサブランカ発またはマラケシュ発(欧州乗継)にすれば、同じ道を戻る無駄がありません。
③ アンダルシア短絡型 — 最短で2大陸に触れる
日程が短いなら、スペイン南部からの短絡ルートもあります。マドリード⇔マラケシュの約2時間のフライトを往復で挟み、モロッコ側はマラケシュ2〜3泊に絞る形です。「砂漠まで行く時間はないが、アフリカの空気に触れたい」人向けの現実解で、アルハンブラ宮殿(グラナダ)とマラケシュのメディナを同じ旅で見ると、イスラム建築の連続性が肌で分かります。
2大陸周遊の実務 — つまずきやすい4点
- モロッコの入国番号 — 入国時にパスポートへ記載される番号を宿泊のたびに書く。該当ページの写真を撮っておく(90日以内ビザ不要・2026年7月時点)
- EU側の出入国(EES) — EUは出入国の生体認証システム EES が全面稼働済み。モロッコ⇔イベリアを往復する行程では EU への入国が複数回になるため、審査の待ち時間を乗継に織り込む。ETIAS の最新状況はETIAS完全ガイドで確認を
- 通貨の切替 — モロッコディルハム(DH)は持ち出し制限(2,000DHまで)がある閉鎖通貨。出国前に使い切るか再両替を。イベリア側はユーロで統一
- 荷物の設計 — 砂漠ツアーがあるなら、スーツケース+砂漠用の小バッグの2段構成に。LCC 区間は受託手荷物が有料なので、航空券より先に荷物ルールを確認
日本からの往路・復路は、リスボン・バルセロナへ直行便を持つカタール航空などの中東系が組みやすい選択肢です。モロッコ側へは欧州ハブ(リスボン・マドリード・パリ等)からの乗り継ぎが基本になります。
最初に埋まる予約 — 2大陸ぶんの「動かせない日」を先に置く
2大陸周遊は移動の自由度が高い一方で、日程を動かせない要素がいくつかあります。ここを先に固定してから、間の日を調整するのが崩れない組み方です。
- サハラ砂漠は最低2泊3日で、これが旅程全体の骨格を決めます。マラケシュから砂漠の入口メルズーガまで約560km、標高2,260mのティシュカ峠を越える山道が続くため日帰りは物理的に不可能。行くなら先にこの3日を確保してから、欧州側の日数を決める
- スペイン側は施設が時間指定です。サグラダ・ファミリアは事前予約必須(基本€26・塔込み€36)、グエル公園も事前予約必須の時間指定枠(€18)(2026年7月時点)。どちらも当日券では希望の時間に入れません
- 砂漠ツアーの形態も先に決める: 混載はエアコン付きミニバス(17人前後)で価格が魅力ですが、乗客全員の希望で動くため撮りたい場所で停まれないことも。プライベートなら途中の町で降ろしてもらう変則ルートまで相談できます。昼食は基本的に別料金(1食€10〜13目安)
- 航空券はオープンジョー(往路と復路で発着地を変える)が組みやすい区間です。同じ都市に戻る必要がないぶん、砂漠の3日を旅の端に置けます
順番としてはサハラの3日 → スペイン側の時間指定枠 → 航空券 → 宿。逆から組むと、砂漠に必要な3日が入らずルート全体を組み直すことになります。
関連記事 — 2大陸の各章へ
- モロッコ側の核心 → サハラ砂漠ツアー完全ガイド・マラケシュ観光ガイド
- イベリア側の骨格 → スペイン・ポルトガル周遊10日間
- 2か国で迷ったら → スペインとポルトガル、どっちにする?



